早稲田作家処女作集
「作家の運命は、処女作によって決定される」(序文より)
青野季吉、谷崎精二監修による早大出身・中退作家アンソロジー。
正宗白鳥「寂寞」 中村星湖「町はずれ」 吉田絃二郎「蜥蜴」
加能作次郎「恭三の父」 牧野信一「爪」 中河与一「氷る舞踏場」
横光利一「御身」 井伏鱒二「山椒魚」 浅見淵「山」
逸見広「死児を焼く二人」 尾崎一雄「早春の蜜蜂」
丹羽文雄「鮎」 八木義徳「海豹」 宮内寒弥「蜃気楼」
井伏鱒二
私は早稲田に入学した翌年の夏休暇に、この山椒魚をモデルにして習作を書いた。しかし実体の山椒魚は餌にもらった蛙など見ると、がぶりと一とくちに食ってしまう。空腹になると自分の手をたべることがある。だから、この小説では山椒魚の生態を部分的に無視しているところがある。――<「『山椒魚』について」より>
※本書に入っている作品は、すべて『現代作家処女作集 早稲田作家篇 第一集』(潮書房・1953年刊)を底本といたしました。
※この製品は、品切重版未定となっております。