甲州子守唄

著:深沢 七郎
定価:1,540円(本体1,400円)

「笛吹川」の現代版
庶民の無常の世界を独特の語りで描いた世捨て人の文学

明治末から大正、昭和と三代にわたる日本近代の歩みが、笛吹川のそばに住む貧しいオカア一家を舞台に展開する一大ロマン。生糸の暴落と農村の貧窮、明治天皇の崩御、関東大震災、戦争と出征、空襲と食糧難、敗戦とヤミ商売――その間には息子・徳次郎の二十年近くのアメリカへの出稼ぎがあり、薄情者となって帰国した息子とその一家をオカアの眼差しから描く。土俗的な語りによる時代批判。

川村湊
「歴史」という時間の堆積がない小説世界。深沢七郎の小説は、日本の現代文学としては珍しい「時間」の流れを無化(無視)することによって成り立っている小説だ。(略)西行や鴨長明、そして深沢七郎のような世捨て人たちだけが、こうした「無常」を透視するまなざしを持つことができたのである。――<「解説」より>

※本作品は「群像」1964年12月号に発表され、単行本は、65年3月、講談社より刊行されました。本書では、筑摩書房刊『深沢七郎集 第三巻』(1997年4月)を底本としました。

甲州子守唄

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