錨のない船 上

著:加賀 乙彦
定価:1,980円(本体1,800円)

1941年、アメリカの厳しい経済制裁で資源確保が困難化、進退窮まる日本。武力解決を訴える勢力の圧迫を受けつつも、ワシントンに飛んだ来島平三郎特命全権大使は、妻の故郷アメリカとの開戦回避の道を懸命に模索していた。だが、ルーズヴェルト大統領、ハル国務長官を相手の交渉は難航、だましうちのように真珠湾攻撃が敢行されてしまう――。戦争に翻弄される外交官一家の肖像をつぶさに描く傑作長篇。


世の中には空しい職業がいろいろあるが、この外交官ほど空しい文字を記さねばならぬ職業もないだろう。いくら条約を作っても親善を結んでも、国と国との利害が衝突する大波が打寄せてくれば跡形もなく消えてしまう。そんな話を、一昨年息子の健に話したことがある。すると健は、自分はそんなはかない仕事よりも、橋一つ機械一つでも、世に永く残るものを作ることに一生をかけたいと言った。

1941年初冬 妻の故国アメリカとの戦争回避に全力を尽くした外交官がいた――歴史に翻弄された一家の物語

1941年、アメリカの厳しい経済制裁で資源確保が困難化、進退窮まる日本。武力解決を訴える勢力の圧迫を受けつつも、ワシントンに飛んだ来島平三郎特命全権大使は、妻の故郷アメリカとの開戦回避の道を懸命に模索していた。だが、ルーズヴェルト大統領、ハル国務長官を相手の交渉は難航、だましうちのように真珠湾攻撃が敢行されてしまう――。戦争に翻弄される外交官一家の肖像をつぶさに描く傑作長篇。

錨のない船 上

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