だれの息子でもない

著:神林 長平
定価:1,705円(本体1,550円)

高校生のころに父は死んだ。母とぼくを捨てて出奔し、祖父の田畑を勝手に売り払った親父を、憎まずにはいられなかった。――あれから十数年、ぼくは安曇平市役所に就職し、電算課電子文書係として働いている。故人となった市民の、ネット内の化身人格(アバター)を消去することが主な業務だ。ある日、ぼくの目の前に現れたのは、ネット内で育った親父の人工化身だった。


高校生のころに父は死んだ。母とぼくを捨てて出奔し、
祖父の田畑を勝手に売り払った親父を、
憎まずにはいられなかった。
――あれから十数年、ぼくは安曇平市役所に就職し、
電算課電子文書係として働いている。
故人となった市民の、ネット内の化身人格(アバター)を消去することが主な業務だ。
ある日、ぼくの目の前に現れたのは、ネット内で育った親父の人工化身(アバター)だった。

だれの息子でもない

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