愛撫・静物 庄野潤三初期作品集

著:庄野 潤三
定価:1,430円(本体1,300円)

妻の小さな過去の秘密を執拗に問い質す夫と、夫の影の如き存在になってしまった自分を心許なく思う妻。結婚3年目の若い夫婦の心理の翳りを瑞々しく鮮烈に描いた「愛撫」。幼い子供達との牧歌的な生活のディテールを繊細な手付きで切り取りつつ、人生の光陰を一幅の絵に定着させた「静物」。実質的な文壇へのデビュー作「愛撫」から、出世作「静物」まで、庄野文学の静かなる成熟の道程を明かす秀作7篇。


日常という画布(カンバス)を一閃する人生の真実

妻の小さな過去の秘密を執拗に問い質す夫と、夫の影の如き存在になってしまった自分を心許なく思う妻。結婚3年目の若い夫婦の心理の翳りを瑞々しく鮮烈に描いた「愛撫」。幼い子供達との牧歌的な生活のディテールを繊細な手付きで切り取りつつ、人生の光陰を一幅の絵に定着させた「静物」。実質的な文壇へのデビュー作「愛撫」から、出世作「静物」まで、庄野文学の静かなる成熟の道程を明かす秀作7篇。

高橋英夫
それら短篇群のあとに、中篇とも見なしうる大きな作品「静物」が来る。それがこの1冊の要であり、あらゆる初期作品はそこへと収斂してゆくことになったのだと観じ、感嘆するほかはない名作「静物」である。遠い山中に発した水源が、少しずつ水量を増しながら長い水の旅を続けて、ついに河口に達し、海に流れ入ったような感銘がこの作品にはある。そしてそのとき読者は、あきらかにそれまでの熱い感触の人間図絵とは異る、不思議に鎮静されたトーンがくまなくこの作品に行き亘っていることに気付かされるだろう。――<「解説」より>

愛撫・静物 庄野潤三初期作品集

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