半グレ

著:草下 シンヤ
定価:1,540円(本体1,400円)

母子家庭に育った苦学生、真は、働き続けの母に恩返しするために、新卒で企業就職しようと必死になっていた。就職氷河期のなか、彼は社員5人のイベント会社にわが身を引き請けてもらう。しかしサーファーのような風貌の社長、真冬なのに日焼けをした専務、ホスト風の先輩社員からは社会人らしさが感じられない。真が入社した会社は、暴走族のOBたちが経営する、マネー・ロンダリング会社だった!


 母子家庭に育った苦学生、真は、働き続けの母に恩返しするために、新卒で企業就職しようと必死になっていた。就職氷河期のなか、彼は社員5人のイベント会社にわが身を引き請けてもらう。しかしサーファーのような風貌の社長、真冬なのにこんがりと日焼けをした専務、ホスト風の先輩社員からは社会人らしさが感じられない。
 会社への訪問者たちも一筋縄ではいかなそうな風貌の男ばかり。そして真は、社内で刺青の自慢をしあう社長と先輩社員の“楽しそうな”一幕を目撃する。真が入社したイベント会社の実態は、暴走族のOBたちの集合体「環状連合」のメンバーが経営する、マネー・ロンダリング会社だったのだ。
 そして、会社の金を横領し失踪した社長の後任として名ばかりの社長になった真は、なぜか「環状連合」のカリスマ・乙矢に気に入られた。母への思い、そして乙矢への憧れが、平凡な大学生だった真をグループに縛り付けていく。マネロンを成功させ、詐欺会社で大金を稼ぎ、有名女性タレントをも手にした彼は、しかし虚無感に支配されている。同じ虚無の匂いは尊敬する乙矢からも感じられた。真と乙矢は同質の人間なのか? 真の中で乙矢への思いが変容していく――。

半グレ

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