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寂しい丘で狩りをする 辻原 登

寂しい丘で狩りをする 辻原 登

寂しい丘で狩りをする 表紙

映画のフィルムエディターとして働く野添敦子は、かつて自分をレイプして逮捕された凶悪犯・押本史夫の復讐に脅える。敦子に依頼されて押本を尾行する女性探偵・桑村みどりもまた、交際相手である久我の暴力に苦しんでいた。7年の刑期を終えて出所した押本は敦子の行方を探し回り、久我は逃れようとするみどりを執拗に追う。追い詰められた女たちが最後に選んだ道は――。

忌まわしい記憶と恐怖を超えて、彼女たちは自分の人生を取り戻すことができるのか?

『寂しい丘で狩りをする』
著者:辻原 登
定価:本体1,600円(税別)

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著者写真

撮影:森 清

この物語があなたに届く時、世界が変わると信じています。辻原 登

1945年生まれ。85年「犬かけて」でデビュー。
90年『村の名前』で芥川賞、99年『翔べ麒麟』で読売文学賞、2000年『遊動亭円木』で谷崎潤一郎賞、05年「枯葉の中の青い炎」で川端康成文学賞、06年『花はさくら木』で大佛次郎賞、10年『許されざる者』で毎日芸術賞、11年『闇の奥』で芸術選奨文部科学大臣賞、13年『冬の旅』で伊藤整文学賞を受賞。

全国の読者モニターから絶賛の声が届いています!

まるで悪い「運命」のように、逃げても逃げても追ってくる悪夢のような存在から、どうしたら助かることができるのか。上手く張られた伏線と思いがけない結末。ひと時たりとも安心できず最後までハラハラしながら読ませられた。まるで降ってわいたような災難は、今こうして普通の生活を送っている自分たちにも明日起こるかもしれないというリアルさがあった。

30代/女性/東京都

一気読みでした。段々近づいてくる犯人の不気味さ、追われる女のあせりと恐怖、読んでいても思わず手に力が入り、ぞくぞくしてきました。立ち向かう女主人公の行動力・思慮深さ・度胸に思わずガッツポーズです!

60代/女性/三重県

まるで映像を観ているような、一気に引き込まれる感情や情景描写のスピード感と、さりげなく表現される男の本性。まさに瞠目のクライムサスペンス!

40代/男性/山形県

情景が浮かぶほどに緻密で濃度の高い文章から繰り出される、追う者と追われる者の緊張感に息がつけないほどでした。部屋で一人で読んでいる時、途中で後ろを振り返ってしまいたくなりました。

30代/女性/神奈川県

これは、作者入魂の作だと思う。ことばのひとつひとつに血が通っている。読んでいて、飽きさせない。この先どんな展開が待っているのかと、はらはらどきどきさせられる。ストーリーが現実的で、迫力がある。物語にどんどん引き込まれる。ディテールのすばらしさは、たくさんの小説を読んできたひとほど、堪能できるはずだ。

70代/男性/東京都

思わず癖になりそうな緊張感・高揚感。途中、何度もひやりとさせられるシーンがあり、その切迫感もリアルだった。同じ<若い女>として、二人の女性に知らず知らずに気持ちを沿わせ、恐怖や絶望を彼女たちと一緒に味わえた。

10代/女性/東京都

救いようがない現実と、たとえ受け入れがたい悲劇の中にあっても必ず光は見える、希望に満ちた話である。職業を持ち日々何かと戦っている、自立した女性に勧めたい。

30代/女性/長野県

品が良く、それでいてぶっきらぼうな、とてもかっこいい映画をスケッチしたような小説でした。映画好き、ハードボイルド好きの方にお勧めしたい。

30代/男性/埼玉県

何と強いヒロイン2人!何だか初めて、男性作家が描くヒロインに感動したような気がします。自立を目指している人に勇気を与えられると思いました。

20代/女性/北海道

追う者が追われる者に、追われる者が追う者に、ぐるぐると立場が逆転していく様子がとても印象的だった。読み終わるまで目が離せない作品。サスペンスにそろそろ飽きてきた人、サスペンスを読んだことのない人にも勧めたい。

40代/女性/広島県

全国の書店員さんも推薦しています!

追っている身から追われる身になった時の恐怖と不安と緊張感。読んでいて悲鳴を上げてしまいそうでした!

SHIBUYA TSUTAYA 内山はるかさん

怖くて怖くて、でも、ページをめくる手が止まりません!忌まわしい記憶を乗り越えていく女たちの姿を凄いなと思いながら、最後までハラハラドキドキしながら読みました。

有隣堂書店厚木店 佐伯敦子さん

女性としては身につまされる恐ろしいサスペンスです。強姦された過去の記憶に苦しまされる上に、出所した男の復讐に怯え暮らすという二重の恐怖、その中でも冷静で勇敢な女性主人公の姿が印象的でした。

丸善丸の内本店 三瓶ひとみさん

出所したレイプ犯と被害者の、息詰まる攻防!一級のサスペンスでありながら詩情漂う人間ドラマでもある、辻原登ならではの奥深い名篇。

八重洲ブックセンター本店 内田俊明さん

心身に深い傷を負い、その恐怖は終わらないばかりか、身近に迫ってくる。読み進むにつれ、とまらなくなってきた。二人の女性の冷静でタフなこと、仕事に生きがいと責任を感じ打ち込む二人の、すっと背筋が伸びたような姿勢が美しい。

三省堂書店神保町本店 母袋幸代さん

丁寧に綴られた骨太のサスペンスに、ただただ圧倒されました。情景豊かなラストは、極上のワインを味わったかのようでした。

MARUZEN名古屋栄店 竹腰香里さん

凶暴な男の獣性が生み出した、消し去ることのできない体の傷、そして深い心の闇。負のスパイラルを断ち切るために決意した女性の命懸けの闘いが鮮烈。「人間の尊厳」そのものと、法制度への問題提起までも内包した、大いなる意気を持った作品だ。

三省堂書店営業本部 内田剛さん

男と戦うことにより、女は輝きを増し、女と争うことにより、男は醜く歪む。この非対称性が、物語を螺旋のごとく、捻じりながら加速させる。一級品のエンターテイメント。

ジュンク堂書店大阪本店 博田宏之さん

追う者もまた追われる者。読者に四人の動きはすべて見えているはずなのに、最後に誰がしとめられるのかは全くわからない。この緊迫感、この爽快感。辻原登に新しく出会ってほしい。対話が成立しない人物がふるう理不尽な暴力に、どう抗うべきかというテーマはひたすらに現代的だと思う。優れた小説とは、万人に通じるエンターテイメントであり、孤独に届く文学であると思ってきたけれど、この作品を読んで改めて確信した。どの角度から読んでも面白い、素晴らしい小説。

紀伊國屋書店新宿本店 今井麻夕美さん