忠臣蔵 もう一つの歴史感覚

著:渡辺 保
定価:1,265円(本体1,150円)

日本人の心の中に「大石内蔵助」という名は一つの男の理想像として刻み込まれている。しかし、このイメージは、実は歴史上の実像とは隔たりがある。それでは、「忠臣蔵」という共同幻想をつくったのは、本当はだれなのか。そして、この壮大なフィクションは、なぜこれほど日本人に愛され続け、『仮名手本忠臣蔵』はどのようにして歌舞伎最大の古典となったのか。明晰な構成と文体で鮮やかに描き出す、第一人者による意欲作。


誰がつくったのか。
なぜ愛されるのか。

日本人の心のうちに、「大石内蔵助」という名は一つの男の理想像として刻み込まれている。このイメージは、実は歴史上の人物像とは隔たりがある。それでは「忠臣蔵」という共同幻想をつくったのは、いったいだれなのか。そしてこの壮大なフィクションは、どのようにして歌舞伎最大の古典となり、時代を超えて一つの美意識を完成させるに至ったのか。

一つの美学が完成した。その流れをみれば、三人の名優が発明したことは、それぞれの時代におけるそれぞれのかたちであって、実は一つのものの表現にしかすぎないということがわかる。(中略)三人の名優の芸の系譜は、どんな時代にも、日本人の感性が一つのものを求めていたこと、少なくとも歌舞伎の世界の中では、一つの感性がこうしてとぎすまされ、それが一人の男の肖像として結実していったことを示している。――<本書より>

※本書の原本は、1981年、白水社より刊行されました。

忠臣蔵 もう一つの歴史感覚

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